私の名前は、竜崎桜乃、女子テニス部の部員です。

私がテニスを始めたきっかけは、リョーマ君の影響。

テニスが強くてかっこよくて、ちょっと無愛想だけど優しいの。

 

憧れのリョーマ君。


そのリョーマ君に。

 

 

・・・・・彼女が出来ました。

 

 

 

 

  Yell

 

 

 

 

帰りのHRが終わって、私は足早に図書室へと向かう。

返却期限が今日なんだよね。


女子テニス部は、今日はお休み。

朋ちゃんを教室で待たせちゃってるから、急がなきゃ!

 

「・・・・・あ!」

 

図書室を覗くと、そこにいたのはリョーマ君!

今日はリョーマ君担当なんだね。


本棚のはしっこにいるから、体は半分しか見えてない。

ちょっとめんどくさそうに本の整理をしている。

 

急いで前髪を整えて、スカートのしわをのばす。

みつあみは・・・・・うん、ほどけてない。



少しドキドキしながら、一歩進むと。

 

「ここも順番違うよ〜・・・・あ、これも!こっちも!」

、そっちの棚はもう終わってるから、こっち手伝って」

「あ、うん!」

 

・・・・・聞いたことのある、女の子の声。

 

静かに中に入って、見えないように本棚のすき間からそっと覗いてみると。


リョーマ君の彼女であるさんが、隣にいた。


リョーマ君の、お手伝いしてるんだ・・・。

 

 

ちょっと、胸が痛い。

 

 

「・・・んっ。この本重い〜・・・」

「じゃあ俺と交換」

「はーい。ありがと〜」

 

優しいな・・・・リョーマ君。

 

あんなふうに優しく笑うリョーマ君、初めて見た。

きっと、彼女さんにしか見せない表情なんだろうな。

 

「あ、この本おもしろそう〜」

「それ家にあるけど。今度来たとき貸すよ」

「ほんと!?」

がここでキスしてくれたらね」

「リョーマ君っ!」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・リョ、リョーマ君ってあんな大胆なんだ・・・・。

 

 

どうしよう・・・・立ち聞きなんかしちゃダメだよね。

あ、でも本返さなきゃ・・・・。

 

・・・・そういえば、リョーマ君と彼女さんが話しているのを聞くのは初めてかも。

いつも遠目に見てたからなぁ。

 

「なかなか終わらないね〜・・・テニス部、終わっちゃわないかな?」

「ここと、あと反対側だけだからなんとかなるよ」

「そっかぁ。じゃあ大丈夫だねっ。・・・・・・・・・あれ?」

 

彼女さんの声が途切れて、立ち上がったのが見えた。


あっ、と思った時はすでに遅くて。


私が隠れている本棚を、そっとのぞくさんと目が合った。

少し驚いた顔をしたけど、すぐ笑顔になって私の持っている本を指差す。

 

「返却ですか?」

「あ・・・・はい!」

 

こんなに間近で見るのも初めて。

すごく可愛い人だぁ・・・。

 

「あ、じゃあ・・・・・・・・リョーマ君っ」

 

まだガタガタと整理をしているリョーマ君を呼ぶ。

本を置く音が止んで、リョーマ君は返却する場所に座った。



今の会話、しっかり聞いてたんだ。



リョーマ君が私に気づいて、早く持って来いというようにじっと見ている。

 

慌てて走り出した、その瞬間。

 

 

「きゃっ!?」

 

 

「あっ!!」

 

 

 

 

自分の右足に、自分の左足を引っ掛けちゃって、前のめりに倒れこむ。

 

 

 

 

(転んじゃう!!)

 

 

 

 

顔面直撃はまぬがれようと、本能で体を左にひねる。

 

 

 

バサッ!っと本が落ちる音が聞こえて。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・?」

!」

 

リョーマ君の慌てた声。



思ったより衝撃がなくて、体をそっと起こしてみると。

 

「・・・・・あっ!」

 

さんが、私を抱きしめるような形で倒れていて。

そんなに痛くないと思ったのは、さんがかばってくれたんだ・・・・。

 

!」

さん!ごめんなさい、大丈夫ですか!?」

 

リョーマ君と二人で必死に呼びかける。

目立った外傷はないから怪我はしていないはずだけど、頭をうってしまってないか心配になる。

 

「いたた・・・大丈夫?」

「本当にごめんなさい!私・・・・本当おっちょこちょいで・・・・!」

 

ゆっくり体を起こしながら、さんはにっこり微笑んだ。

 

「私は大丈夫だよ。軽いから、全然衝撃なかったもん」

「そんな・・・・」

 

さんの方が、折れてしまいそうなほど細いのに。

 

 

「そーゆー問題じゃないだろ?

 

 

リョーマ君が、少し怒った顔で私達を見ている。

いたたまれなくて、泣きそうになった。

 

「私は本当に大丈夫だから。それに、転ぶことなんて誰だってあるもん」

 

リョーマ君に心配かけたのはごめんなさい、と言って、さんは立ち上がる。

いまだに床に座り、泣きそうになっている私にそっと両手を差しだす。

 

「支えようと思ったんだけど、転んじゃった・・・ごめんね。どこも怪我してない?」

 

少し心配そうに、私に問いかける。

 

「はい・・・・すみませんでした・・・」

 

落ち込む私の手をとって、さんは立ち上がらせてくれた。



どこまで優しい人なんだろう。




スカートをはらって、さんは落ちている本を拾い上げる。

そして、それをリョーマ君に渡した。

 

「はい、図書委員さん」

「・・・・・・・」

 

リョーマ君は小さく溜息を吐いて受け取ると、返却場所まで戻っていった。



・・・・怒らせちゃった。

どうしよう・・・。

 

「そんなに気にしないでね?リョーマ君、心配してるだけだから」

「・・・・はい・・・」

 

だけど、大事な彼女さんが危うく大怪我しそうになったら、誰だって怒っちゃうよね。

もう一度、謝らなきゃ。



カードに何やら書き込んでいるリョーマ君に近づく。

リョーマ君が顔をあげて、目が合った。

 

 

「・・・お騒がせ、しました・・・」

「・・・・・・・もういいって」

 

そう言うと、返却承りマシタ、とリョーマ君はつぶやいた。

気持ちが落ち込んで、思わず下を向く。

本当にもうしわけなくて、何も言えないでいると。

 

 

「・・・まだまだだね、アンタ」

 

 

ニヤッと、かすかだけど笑ってくれて。


ほっとして、私もぎこちないけど微笑み返す。


そして、もう一度さんに向き合った。

 

「本当にすみませんでした」

「ううん。お互い無傷だったし、結果オーライだよ♪」

 

すごく綺麗な笑顔を私に向けてくれて。

 

 

 

 

この時、リョーマ君がさんを好きになった理由が、なんとなく分かった気がした。

 

 

 

 

 

 

 

図書室をでる際、そっと後ろを振り返ってみると。

返却机越しに、楽しそうに話をしているリョーマ君とさん。

 

 

初めてリョーマ君に彼女ができたと知ったとき、本当はすごく辛かった。

 

 

・・・・・早く、別れてくれないかなんて、そんな自分勝手な考えまで持ってた。

 

 

だけど今は、二人を応援していたい気持ちに変わったよ。

 

だって大好きなリョーマ君が、あんな幸せそうな表情をするのは。

 

他でもない、優しいさんがいるから。

 

 

 

 

いつまでも、二人に笑顔でいてほしいな。

 

 

 

 

 

 

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夢小説に桜乃を登場させてしまいました;

もしご気分を害されたらすみません(><)

だけどさんとリョーマ君には、誰からも好かれるようなカップルになってほしいんです〜