肌に突き刺さる冷たい空気。

なのに、心はどこか暖かくて。



向こうに見える人だかり。

ざわめく声が耳に響く。

 

優しくつないだ右手から。




大好きな人の体温が、しっかりと伝わってくる。

 

 

 

 

  moment

 

 

 

 

気付けば今年ももう終わり。

年越しの瞬間は、やっぱり大好きなリョーマ君と過ごしたい。



中学生の女の子が夜中に出歩くなんて、と渋るお母さんをなんとか説得して、

リョーマ君と近くの神社までお参りに行くことができた。

 

・・・本当は、クラスの女の子達で集まるという話になったから、ってウソついちゃったんだ。


リョーマ君と二人で行きます、なんて言ったら、許してもらえないような気がしたから。

 

「ま、ウソも方便って言うし、いいんじゃない?」

 

リョーマ君にそのことを伝えたら、笑ってこう言ってくれた。

もうちょっと大きくなったら、きっと堂々と行けるよね。

 

 

 

神社に近づくにつれて、人声が大きくなる。

夜店の明かりも煌々と照らされ、ワクワクした気持ちが溢れてくる。

 

「人、たくさんいるね」

「迷子になんないでよ、

 

ニヤッといじわるく言われて、「ならないもん」と繋いでいる手をぎゅっと握る。

リョーマ君が小さく笑って、腕をひいて身体を引き寄せてくれた。



境内は、もうすでにたくさんの人でにぎわっている。

まだ年は明けていないのに、早々とお参りしている人もいれば、おみくじをひいている人もいる。

 

「あ、菊丸先輩だ!」

「え?」

 

少し離れた先にある、甘酒を売っている屋台の前に、菊丸先輩と大石先輩、それに桃ちゃんがいる。

 

「声かけないの?リョーマ君」

「いいよ。静かに年越したいし」

 

桃先輩うるさいし、とブツブツ言うリョーマ君に苦笑して、二人でそっとその場を離れた。

 

「こんな時ぐらい、と二人でいたいしね」

 

リョーマ君が小さく呟いた、不意打ちの言葉。

すぐ熱くなった顔を隠すため、私はごまかすように腕時計を見てみると。


気付けば、新年までもう五分を切っている。

 

「リョーマ君、あと五分も経たないうちに年越しだよ」

「ん。じゃあもうちょっと静かな場所行こうよ」

 

そう言うと、リョーマ君は人混みを掻き分けて歩き始める。

確かに、年越しの瞬間に人混みに紛れて歩くのも、ちょっとヤダよね。



たくさんの人に押されながら、屋台が立ち並ぶ道から抜け出す。



まったく人がいないわけじゃないけど、少しは落ち着ける場所までやって来れた。

 

「・・・・」

 

ふと周りを見回すと、この場所はカップルだらけ。



肩を寄せ合って甘酒を飲んでいる人もいれば、抱き合ってキスしている人たちもいる。

私たちも、カップル・・・だけど、なんだかちょっと恥ずかしい。



目のやり場に困って下を向いていたら。

 

「わっ、リョーマ君・・・!?」

 

隣にいるリョーマ君が、するりと腕を伸ばして私の腰を優しく抱き寄せる。

突然の行動と、ここが外だということに焦って、思わず逃げようとした。

 

「・・・逃げなくたっていいじゃん」

「だ、だって・・・」

「誰も見てないよ。周りの方がもっと凄いじゃん」

 

確かにそうだけど・・・。



抵抗をやめると、リョーマ君は少し笑ってもっと強く抱きついてきた。

リョーマ君の息遣いが伝わってくると、安心して力が抜けてしまう。

 

「あと何分?」

 

その言葉に腕時計を見ようとすると、ふいに周りがざわつき始める。

人混みのいたるところで、誰かが何かを叫んでいて。

 

「・・・あ!カウントダウンだよ、リョーマ君!」

 

二人して耳をすますと、その声はますます大きくなり、冷たい空気を裂いてハッキリと聞こえてきた。



新しい年が明けるという興奮の波の中、私とリョーマ君はそっと寄り添う。

 

 

大好きな人の体温を感じて。

息遣いを感じて。

 

 

・・・」

 

 

いつもと変わらない、私を呼ぶ声。


ゆっくりと顔をあげれば、大きな瞳と目が合って。

 

 

 

新しい年の、その瞬間。

 

 

 

歓声の中で、今年最初のキスを交わす。

 

 

 

 

「あけましておめでとう、リョーマ君」

「・・・おめでと。今年もよろしく・・・

 

 

 

 

大好きな人と年を越して。

 

大好きな人とキスをする。

 

 

 

ずっとずっと、大好きなリョーマ君と、一緒にいられますように。

 

 

 

 

 

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2006年、あけましておめでとうございます。

やっぱり年越しは、大好きな人と過ごしたいもんですねぇ。


かなり急いで書いたので、いつも以上に至らない文です(^^;)