たまには

 

こんな日があってもいいんじゃない?

 

 

 

 

  late risergirl

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・

 

 

 

 

・・・・・・ん・・・・・お母さん・・・・・・?

 

まだ寝ていたいよ・・・・・

 

 

お布団がすごい気持ちいい・・・・

 

昨日干したばかりの布団だから、太陽の香りがする

あと五分だけ・・・・・

 

 

 

「・・・・

 

 

 

窓から射しこむ光・・・聞こえる鳥の声・・・

 

 


 

 

・・・リョーマ君の、声?

 

 

「起きてよ、

「・・・・・・・??」

 

重たいまぶたをゆっくり上げると。

困ったような、呆れたようなリョーマ君の顔が、私をのぞきこんでいる。

 

 

・・・リョーマ君??

 

 

「っ!?」

「やっと起きた?」

 

あわてて飛び起きると、リョーマ君はやれやれと床に座り込む。

制服でもなく、レギュラージャージを着ているリョーマ君でもない。

私服の、彼。

床にあぐらをかいて、ベッドの上で呆然としている私を上目づかいで見つめる。

 

・・・やっちゃった・・・

 

「・・・ごめんなさい・・・」

「別にいーよ。昨日何時に寝たの?」

 

その言葉に、ベッドの脇に置いてある目覚まし時計を見る。

 

今はちょうど十一時。

 

待ち合わせ時間は十時なのに、一時間も過ぎている。

八時には起きようと思ったのに、三時間も寝坊しちゃうなんて・・・。

 

目覚まし時計ちゃんとセットしたのに。

寝ぼけて止めちゃったのかな・・・。

 

と長電話してて・・・気付いたら・・・」

「・・・気付いたら?」

「・・・・・・四時」

 

はぁ、と大きな溜息が聞こえる。

もうほんと、何やってんだろ私・・・。

 

久しぶりに、休日に遊べる日なのに。

リョーマ君だって、部活で疲れているのに頑張って早起きしてくれて・・・。(もしかしてちょっと寝坊したかもしれないけどね)

 

「ほんとにごめんなさい・・・」

「いいって。気にしてないから」

 

素っ気ないけど、眼差しはすごく優しくてホッとする。

ようやく頭がクリアになってきた。

と、同時に、私は気付く。

 

「・・・・!!」

 

よくよく思えば、寝起きの私の髪はくしゃくしゃ。

顔も洗ってないし、歯も磨いてない。

おまけにパジャマ。

 

・・・最悪。

 

私はベッドから飛びおりる。

 

「ちょっ・・・、どこ行くのさ」

「洗面所!ちょっと待ってて!」

「そのままでいいよ」

「女の子だよー!?」

 

自分でもよく分からないことを言いながら、タンスから素早く洋服をつかみ、ダッシュで部屋をでる。

目指すは洗面所!

 

「パジャマ姿、可愛いのに・・・」

 

残念、とリョーマは小さく呟くと。

のMDコンポの電源を入れ、軽快な音楽を聞きながら。

先程までが寝ていたベッドに、ゴロリと横になった。

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと。やっと起きたの?」

 

お母さんが洗濯機に洗剤を入れながら、あわただしく準備をする私に声をかける。

「お母さん!どうして起こしてくれなかったのー!?」

「一回起こしたわよ。起きなかったから、今日のデートは中止になったのかと思って」

「なるわけない!もう! せめてリョーマ君をリビングで待たせてほしかったよう・・・」

「せっかく来てもらったのに悪いでしょ。それに・・・」

 

歯ブラシに歯磨き粉をつける私に、ニヤッと笑う。

 

「な・・・何?」

「最高にいい目覚めだったんじゃなーい?」

「・・・・・」

「あらヤダ、図星?」

若いっていいわね〜、と楽しそうに笑うお母さん。

・・・確かに、起きたときリョーマ君がいて、嬉しいと思ったのは事実だけど。

 

頬を赤く染めながら、は歯を磨き続けた。

 

 

 

 

いつもならちゃんとブローして髪をとかすけど。

今日は時間がないから、手早く一つ結びでまとめる。

なるべく高い位置に。

この方が可愛いよね。

 

歯も磨いたし、顔も洗った。

洗面所で服にも着替えた。

三十分もかからなかったな。

私の朝ご飯代わりとリョーマ君のおやつに、ドーナッツと紅茶を持って、彼が待つ部屋へと急ぐ。

ドアの前まで行くと、私がいつも聞いている音楽が流れている。

トレイで両手が塞がっているから、ドアが開けられない。

 

「リョーマ君、開けて〜」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

無反応。

まさか、この三十分の間に怒っちゃった・・・?

 

「リョーマ君っ」

 

ドアに口を近づけて、さっきよりも大きく声をかける。

 

「ん・・・どしたの?」

 

目をこすりながら、やっとリョーマ君がドアを開けてくれた。

寝てたのかな?

 

「ありがとう。起こしちゃった?」

「平気。ああ、それ持ってたんだ」

 

私を部屋に入れると。

リョーマ君がドアを閉め、机の横に置いてある折りたたみ式の小さな机をセットしてくれた。

その上にドーナッツと紅茶を置いて、座っているリョーマ君の目の前で正座をして。

あらためて。

 

「ごめんなさい」

「これからは気をつけてよね、

 

リョーマ君は苦笑して、「人のこと言えないけど」って付け加える。

二人で顔を見合わせて。

くすくすと笑いあった。

 



「ん?」

「ん?じゃなくてさ。お詫びは?」

「・・・はい??」

「だから、お詫び」

 

お詫び・・・って言われても。

 

「ドーナッツと紅茶じゃ・・・ダメ?」

「それはそれ。お詫びとは別」

 

そう言うと、リョーマ君は私の後ろにきて。

私を後ろから抱きかかえるように座り込む。

 

「リョ、リョーマ君??」

「今日一日中、ずっとこのままね」

「えーっ!」

 

リョーマ君の体温を直に感じて。

腰に手をまわされて。

耳元で囁かれて。

これじゃ心臓が持たないよ!

 

「今日は電車乗って遠出する予定なのに〜っ!」

「予定は未定でしょ」

「ひどいー!」

「ふーん。寝坊したのはどちらさん?」

「・・・・・・・・私です」

 

何も言い返せなくなった私を見て、リョーマ君はニヤッと笑った・・・気がする。

後ろにいるリョーマ君の顔は見えないけど、絶対笑ったに決まってる!

バタバタと抵抗をしてみても、アゴをつかまれ深くキスされて・・・。

 

 

 

結局、今日のデートは私の家に変更。

 

 

寝坊をして言い訳できない私は、ずーっとリョーマ君に抱きつかれて。

 

 

キスもいっぱいされて。

 

 

久しぶりに甘い時間を過ごしたけれど、ホントはお出かけしたかったのも事実。

 

もう絶対、寝坊しないぞ!

 

 

 

 

 

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リョーマ君ではなく、ヒロインを寝坊させてみました