あなたの髪が好き


黒くツヤのある髪は 風に吹かれるとさらさらと舞う

 

あなたの髪が好き


髪に風をからませ ひたすらボールを追うときも

 

 

あなただから 好き

 

 

 

 

  散 髪 日 和

 

 

 

 

「ほあら〜」

「あ、カルピンだぁ!」

 

今日は珍しく部活がお休みの日曜日。

私、はリョーマ君のお家に遊びに来ています。

手土産にクッキーを持ってきたんだけど、あいにく南次郎さん達はお出かけ中。

リョーマ君と二人きりみたい。

 

「ほあら〜」

 

あ、カルピンも入れて二人と一匹ね。

 

「部屋行くよ」

「あーん、待ってぇ」

 

玄関先でカルピンとじゃれている私を尻目に、リョーマ君はさっさと行ってしまう。

さりげなく、私の荷物を持って。

ぶっきらぼうだけど、やっぱりリョーマ君は優しいね。

 

「いい飼い主さんだよね、カルピン?」

「ほあら〜〜」

 

カルピンってば、幸せモノ。

私はにっこり笑ってカルピンを抱き、リョーマ君の部屋へと向かった。

 

 

* * * * * * * *

 

 

「おいしい?」

「まぁまぁだね」

 

リョーマ君のお部屋は、あいかわらずテレビゲームとテニス雑誌が落ちている。

足の踏み場も無いってわけじゃないけど、なんとなく二人でベッドに腰掛ける。

カルピンはリョーマ君の足元でお休み中。

私の膝の上には、昨日焼いた紅茶クッキー。

本当は、料理はあまり得意じゃないんだけど、久しぶりにリョーマ君のお家にお邪魔するから、

お母さんに手伝ってもらったんだ。

 

「まぁまぁなの〜?」

「ウソ、かなりうまい」

 

にやっと笑って、意地悪な瞳で私を見る。

 

「もーっ。リョーマ君のバカっ」

「ごめんって。でも、本当にうまいよ」

「お母さんにも手伝ってもらっちゃったんだけどね」

「やっぱり?」

「またそんな意地悪言うーっ」

 

ポカポカ頭を軽くたたくと、リョーマ君は笑いながら私の腕を優しくつかむ。

そのとき、ふと気がついた。

 

「・・・リョーマ君、髪伸びたね」

 

なんかいつもと違うって思ったのは、そのせいかな。

前髪が目にかかって、少し邪魔そう。

えりあしも結構長い。

 

「最近切ってなかったからね。めんどくさくてさ」

「お母さんか菜々子さんに切ってもらえば?」

「やだよ。なんか恥ずかしいじゃん」

 

相手が女の人だからかな。

 

「じゃあ南次郎さんは?」

「絶対やだ。バリカンで坊主にされそう」

 

リョーマ君が坊主・・・ちょっと見てみたいかも。

 

「じゃあやっぱり美容院だね」

「・・・切ってよ」

「え!?」

 

生まれてこのかた、人の髪の毛切ったことないんですけどっ。

 

「そこまで不器用じゃないし、ゆっくりやればできるっしょ」

「でもっ。絶対変になっちゃうよ!」

「パッツンにさえしなければいいって」

 

いや・・・それはしないけど。

 

「えー・・・でも・・・」

「じゃ、用意してくる」

 

そう言って、リョーマ君は部屋を出て行ってしまう。

私は必死に、美容院の人がいつもどうやって髪を切っているか思い出していた。

 

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次で完結です。