何があったんだろう
何が起こったんだろう
この痛みは この不安は
いったい何?
第十六話
今日のお昼休み、いつもと同じようにご飯を食べていた。
何かお礼がしたいって言ったら、リョーマ君は思いついたら言うって答えくれたのに。
放課後、テニス見に行くよって言ったら、少し微笑んでくれたのに。
いつもと変わらない態度だったのに。
やっぱり、目をそらされたのは気のせいじゃなかったんだ・・・。
今日のリョーマ君、打ち方がいつもと少し違うって感じたから、何かあったのかなって気になったんだけど。
・・・おせっかいだったかな、私。
迷惑だったかな。
────────あんたにはカンケーないよ
・・・・・そうだよね。
私、別にリョーマ君の彼女とかじゃないし。
・・・・・カンケー・・・ないんだ・・・。
「・・・・・・おい、?」
「・・・・・・え?」
桃ちゃんの声にハッとして顔をあげると。
部室にいる人たち全員の注目を浴びていて。
何かを察したような顔の不二先輩と目が合って。
ボーッとしていた顔を見られたと思い、いっきに恥ずかしくなる。
「あっ・・・・お、お邪魔しました!」
あせって良く分からないこと言っちゃったけど、訂正してる余裕もないから慌てて扉に手をかける。
バタン、と閉めて。
私はその場を走り出した。
意味も分からず胸が苦しくて。
涙がでて。
「・・・・・リョーマ君っ・・・・・!」
わけも分からず、彼の名前をつぶやいた。
「おっはよ!遅刻ギリギリだよ〜!」
昨日からずっと、塞がれたように苦しい胸の中。
昨夜はなかなか眠れなくて、今日ちょっと寝坊しちゃったんだ。
眠れない原因は分かっているんだけど。
どうして眠れないほどの原因なのかは、分からない。
「・・・ん、おはよ〜。ちょっと寝坊しちゃって」
「が寝坊なんて珍しいな」
桃ちゃんがひょっこりあらわれ、ちょっと心配そうに眉を寄せる。
「なによ、何か悩みでもあるの?」
「なんかあったら言ってみろよ。口に出すと結構スッキリするもんだぜ」
「・・・・ありがと」
二人の気持ちは、すごく嬉しかった。
だけど、リョーマ君が原因だなんて、なぜか言えなくて。
むしろ、どうしてリョーマ君が原因なのかも分からないのに・・・。
ただ、「関係ない」って言われたことが、こんなに苦しいなんて。
「でも大丈夫だよ。そんなにたいしたコトじゃないから」
桃ちゃんはともかく、長い付き合いのには何かあったと感じるらしく。
「・・・・分かった。だけど、辛くなったら言いなよ?私も桃も、話を聞くくらいはできるんだから。
・・・ま、もっとも、桃に話を理解できるような脳ミソがあるかは別として・・・」
「あぁ!?なんつったお前!!」
「桃に話を理解できるよーな脳ミソがあるかって言ったのよ!」
「あんだとー!?」
長い付き合いだからこそ、かな。
私に話す気がないと分かると、はこうやってうまく話を切り替える。
ごめんね、。
話せるときが来たら、必ず話すからね。
ふざけあうと桃ちゃんを見ながら、消えない胸の痛みに小さくため息を吐く。
先生が教室に入ってきて、朝のHRが始まった。
昨日の、リョーマ君の一言が頭から離れない。
明らかに、彼は私に対して何か怒っている・・・と思う。
自分が気付かないうちに、リョーマ君を傷つけていたのかもしれない。
・・・ひょっとしたら、お礼させてって言ったのがまずかったのかな?
私、しつこかった?
それとも、部外者のくせにテニスに関して口出ししたのがいけなかったのかな?
ぼんやりと考えていたら、いつの間にかHRは終わっていて。
気付くと、私は一年二組の教室に向かって歩いていた。
途中、教室移動中の乾先輩に会い挨拶をする。
まともに話したことないのに、いつの間にか顔覚えられちゃったなぁ。
腕時計をチラリと見ると、授業が始まるまでまだ時間はある。
よかった、と思い、顔をあげると。
「・・・あ・・・」
リョーマ君が、前から歩いてきて。
彼も私に気づき、少し驚いた顔をしている。
私は歩く速度を速めて、彼に近寄った。
「・・・・あ、リョーマ君・・・・、あのね・・・」
いきなりのことで、動揺してしまい言葉が出てこない。
とりあえず、理由は分からないけど謝ろうと思い口を開く。
「えっと・・・・・ご」
ごめんね
そう言おうとしたら。
「・・・・」
何も言わないで、彼は私の横を通り過ぎていった。
目も合わせず。
口も開かず。
「・・・・・リョーマ・・・君・・・・・?」
言いかけた言葉は、行き先を失って。
私はしばらく、そこを動くことが出来ないでいた。
その日から。
私とリョーマ君は、一切話しをしなくなる。
廊下で会っても目をそらされて。
あいさつもできない。
いつも四人で楽しく過ごしていたお昼休みは、いつの間にか三人になってしまった。
「いや、あいつなんか暑いから外にでたくないとか言っててよ・・・」
何日経っても来ないリョーマ君を誘いに行った桃ちゃんは、こう言われたみたい。
だけど、リョーマ君が来ない原因は、まぎれもなく私。
近づいたと思った距離は、随分離れてしまったみたい。
・・・・・・私とリョーマ君の距離が近づいた、だなんて。
もともと錯覚だったのかな。
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暗くなってしまいました・・・。 次はリョーマ視点です。