一緒にいるだけで溢れてくる

大好きな気持ち

 

甘いチョコに込めて

 

 

 

 

  For you! 3

 

 

 

 

二月が始まると、心なしかそわそわする。



女の子は、集団でいつも以上に楽しそうに話したり。

急に、女子に優しく接する男の子もいたり。



あえて口には出さなくても、皆バレンタインを意識している。

 

 



「?」



放課後、二年八組の教室掃除をしていたは自分を呼ぶ声に顔をあげる。

見ると、教室の出入り口のところでリョーマがこちらをジッと見ていた。


クラスメイトに冷やかされながらも、すぐに駆け寄る。

はやし立てる男子生徒を気にもせず、リョーマは口を開いた。



「ねぇ、今日何か用事あんの?」

「えっ?」

 

突然の言葉に、思わずドキリとする。



というのもここ最近、とバレンタインの準備をしているため、リョーマと帰っていないのだ。

近頃、からの帰りの誘いもないし、今日は一緒に帰れるのかと聞くと、曖昧に断られる。


さすがにおかしいと思ったのだろう。



「う・・・うん。ちょっとね」



だがもちろん、チョコ作りの練習をしているとは言えない。

なんとかごまかそうとするを、リョーマは明らかに不審に思っている。



「なんかさ、俺に隠し事してるんじゃない?」

「し・・・してないよ!」



両手を振って否定してみても、リョーマはふーんと疑わしげに返す。



「じゃあ、今日帰れないの?」



はグッと言葉を詰まらせる。

今日はの家で、本番と思って練習をするという約束をしていて。



「・・・・ちょっと、と用事あるからダメなの。ごめんね」



いちおう事実だ。


だが見るからに、リョーマは納得し切れていない顔をしている。

少しの間沈黙が流れたが、その沈黙を裂くようにの後ろから話しかけてきた。

 

「越前リョーマ君、今日借りるね!」

 

二人の話を聞いていたのか、は自然と話の中に入り込んだ。

リョーマは少し嫌そうな顔をしたが、別にいいっスよ、といつものように無愛想に答えて。



「・・・じゃ、俺部活行くから」

「が、頑張ってね、リョーマ君!」



素っ気なく背中を見せて歩き出したリョーマに、は精一杯明るく答える。

申し訳ないと思いつつも、のウィンクには小さく笑顔を返した。

 

 

 

 

に帰りの誘いを断られたリョーマは、らしくないと思いながらも多少イラつきは感じていた。

一緒に帰れない、ということよりも、隠し事をされることが気に入らない。


いつも以上にキレのあるツイストサーブをかまして、リョーマは汗をぬぐおうと帽子を脱いだ。



「なーんか荒れてんな、越前!」

「・・・桃先輩」



ラケットを肩に担ぎながら、桃城が笑いながら見下ろしてきて。

どうせがらみだろ?と顔に書いてある、そうリョーマは思った。



が、否定は出来ない。

 

「別に荒れてないっス」

「まーまー、意地張んなよ!」

「張ってないっス」

「ったく。どーせがらみだろ?」

「・・・・・」



押し黙ったリョーマを見て、桃城は苦笑する。

も大変だな、とかすかに同情すると、リョーマの肩に手を置いて。



「うっし。帰りにハンバーガーでも食ってくか!」

「俺はいいっス」



案の定断ったリョーマに、ラケットの淵で軽く頭を叩く。

帽子をかぶっていないため、ゴツン、と鈍い音がした。



「越前、先輩の言うことはきかなくちゃいけねーな、いけねーよ」

「・・・・・・っス」



叩かれた頭をさすりながら、溜息を吐いて渋々頷く。

FILAの帽子を被りなおして。

 

ほんの少し、日が陰り始めた空を仰いだ。

 

 

 

 

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表にはあまりでてきませんが、美月さん頑張ってます。

次はリョーマメインです。