大好きな人のために  特別な一日のために

だけど

 

時に訪れる  想定外

 

 

 

 

  For you! 2

 

 

 

 

次の日、は教室へ入るなりのもとへ駆け寄った。

 

「どうしよう〜〜!!」

「な、何?どうしたのよ・・・」



あの生意気ルーキーと何かあったのかと聞くと、必死には頷いて。



「ケンカでもしたの?」

「違うよー!」

「じゃあ何よ?嫌なことされたわけでもないんでしょ?越前リョーマ君、にはそんなこと絶対しないし」



その言葉に、は頬を染めて思わず小さく頷く。

軽く頬をつねりながら、は溜息を吐いた。



「このバカップル・・・」

「いひゃい〜(痛い〜)」

「で、何があったの?」



つねっていた頬から手を放し、頬杖をついてを眺める。

周りを気にしてか、の耳元で小さく囁いた。



「あのね、昨日リョーマ君にバレンタインのこと聞いたんだけど・・・」

「別に俺はいらない、とか?」

「な、なんで分かったの!?」



驚いて思わず身体を離す。


その拍子に、後ろにいた男子にぶつかってしまった。



「あ、ご、ごめんね!・・・・って・・・・」


「よっ!」



振り向くと、そこにいるのは同じクラスの桃城武。

気のせいか、ニヤニヤと楽しそうに笑っている。



「桃ちゃん・・・」

「何こそこそ話してんだよ」

「な、なんでもないよっ」

「隠し事はいけねーな、いけねーよ」

 

桃城はリョーマと同じテニス部だ。

迂闊に口を滑らせたら、それはすべてリョーマの耳に届いてしまうだろう。



焦るとは対照的に、は落ち着いた様子で桃城を見上げた。

 

「白々しいわね、桃・・・」

「まぁいーじゃねぇか。で、あいつがなんだって?」

「え?」



一人置いてけぼりをくらっているに構わず、二人は淡々と話を進める。



「なんかねー、いわく、越前リョーマ君はバレンタインに興味がないそうよ」

「どう考えたって興味あるように思えねぇだろ、あいつは」

「わー!っ!!」



ようやく盗み聞きされていたことに気付いたは、慌てて間に割って入ろうとする。

桃城に軽く肩を押さえられただけで、それは簡単に阻止されてしまったが。

 

明るく楽しい桃ちゃんも、やっぱり男の子なんだな、とは心のどこかでふと思う。

 

 

「でもよ、いくら興味ねぇっつっても、からのチョコは別だろ」

 

思いもかけない言葉に、暴れていたは抵抗をピタリとやめて。

きょとん、と桃城を見上げた。



もそうそう、と深く頷いている。

 

「彼女から貰うチョコと、なんでもねー女子から貰うチョコ。誰だって彼女からのを選ぶし、嬉しいはずだぜ」

「でも、リョーマ君にどんなチョコがいいのって聞いたら、別にいらないって・・・」

・・・あんた、あの越前リョーマ君がチョコを欲しいって言うと思う?」

「・・・・・・・」

 

言われてみれば。


プライドの高いリョーマが、わざわざ欲しいと口にすることはまずないだろう。

 

「・・・でも、リョーマ君は、本当にチョコいらないんじゃないのかな・・・」

「なんでそう思うのよ?」

「だって、昨日・・・」

 

 

二人で入った雑貨屋。



バレンタインのラッピングコーナーは、たくさんの女の子で群がっていた。



その群集に向かって呟いた、リョーマの呆れたような言葉。

 

“ほんと女子って好きだよね、そーゆーの”

“バレンタインじゃなきゃ、伝えられないってこと?” ・・・・・・

 

 

と桃城は、顔を見合わせて苦笑した。

 

「しょーがねぇなぁ、おい」

「ほんと。らしいって言えばらしいけど、ね」

、んな落ち込むなって!」



肩を落とすに、桃城は明るく声をかける。

どうやら相当参っているのか、半泣き状態だ。



「せっかくリョーマ君に、チョコを通して気持ち伝えたかったのに・・・」

「あ?気持ちぃ?」

「うん。リョーマ君に、ありがとうとか、今までの気持ち全部」

「んなの、直接どーんと言えばいいじゃねぇか」

「・・・恥ずかしくて言えないもん」



照れ屋〜とからかわれ真っ赤になるを見ながら、は小さく笑った。

 

 

リョーマがのことをどれほど好きか、はよく分かっている。

それは普段の彼の態度を見れば分かるし、に対する眼差しもどこか柔らかい。



だけど、彼はあまのじゃくだ。

素直にものを言うタマではない。



桃城の言うとおり、例え本当にいらないと思っていても、からのチョコなら受け取ってくれるだろう。

 

 

とりあえず、にやるべきことをやらせようと、は鞄の中からお菓子の本を取り出す。

パラパラとページをめくり、いまだに顔の赤いに声をかけた。



「ねぇ。越前リョーマ君に、どんなチョコがいいかなんて聞いても答えてくれないんでしょ。
 こっちで勝手に決めちゃえばいいじゃない」

「でも〜・・・」



付箋が貼ってあるページを開くと、そこには小さくて丸いチョコレートが載っている。

桃城が本を取り上げて目を輝かせた。



「うおー!うまそーっ!」

「ちょっと桃!返しなさいっ」



本を取り返すと、桃城が不満げな声を漏らす。



「なぁ〜俺にもくれよ!義理でいいからよー」

「あんたには義理チョコだってあげないわ」

「んなムキになんなよ!」

「ねぇ、これってトリュフ?」



ケンカムードになってきた二人をどうにかしようと、は話題を本に向ける。

すぐにが反応した。



「そうよ。あたしそれ作ろうと思ってるんだ。もあたしんちで一緒に作らない?」

「えっ、いいの?」

「もっちろん!それなら簡単だし、料理苦手なでもできるわよ」

「・・・んー・・・」



まだ渋るの頭を、は軽く叩く。



「あの生意気ルーキー、絶対他の女の子からも貰うんだから!彼女のあんたからあげないでどーすんのよっ」



その言葉には少し考えた後、それじゃあと了解する。


トリュフのページを読み始めたを、桃城は意外そうな目で見つめた。

 

・・・お前、料理苦手なのか?」

「・・・・・・・・・・うん」

 

あまり知られたくないのか、頬を膨らませてそっぽを向いてしまう。

が困ったように笑った。



「トリュフなら大丈夫だって。ほら、材料買いに行く日、決めよ」

 

 

 

「・・・苦手な料理を、越前のためにか・・・・・」

 

 

 

額をつき合わせて話し合い始めた二人を見ながら。


桃城がほんの少し、羨ましそうに呟いた。

 

 

「青春だねぇ・・・・」

 

 

 

 

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リョーマがでてこない・・・。

次は、ちゃんとリョーマもでます〜。