たくさんの想いが交差する
それは時に実を結び、花開き、そして時に空に散って
笑顔と涙が弾ける日
恋する女の子の、決意の日
For you!
ふと周りを見渡せば、街並みに連なるショーウィンドウは、ピンク色や赤色ばかり。
綺麗に飾り付けられた箱の中に入っているのは、宝石のようなチョコレート。
世間はバレンタイン一色だ。
もちろん、も二月十四日を待ちわびる、恋する女の子の一人。
「リョーマ君、あのお店入ってもいい?」
「ん。いーよ」
一月も終わりに近づいてきた日曜日。
午前中に部活が終わったため、この日の午後は二人でショッピングモールに来ていた。
リョーマとが途中で入った大きな雑貨屋では、可愛いラッピングセットが所狭しと並べられている。
バレンタインを告げるチラシや飾り付けも、店内を彩っていて。
と同じくらいの若い女の子達が、頬を染めながらどれにしようかと楽しそうに選んでいた。
その群集に向かって、リョーマが口を開く。
「なにあれ・・・」
「えっ」
恐らくバレンタインに興味の無いリョーマの呟きに、はドキッとする。
せっかく、今日チョコの好みを聞こうと思っていたのに、出鼻がくじかれてしまった。
「バレンタインってやつ?ほんと女子って好きだよね、そーゆーの」
「女の子にとっては、思いを伝える大事な日なんだよっ」
「バレンタインじゃなきゃ、伝えられないってこと?」
呆れたようなセリフに、は思わずムッとする。
「そんな・・・。・・・リョーマ君だって、チョコ貰ったら嬉しいでしょ?」
「別に」
気にもとめず、リョーマは様々な入浴剤が置いてあるコーナーへ足を進める。
それを追いかけながら、は内心焦り始めていた。
自分も周りにいる女の子と同じように、好きな人にチョコをあげたい。
まして、その対象が片想いではなく彼氏ならば尚更だ。
それに恐らく、リョーマは親衛隊の女の子からもたくさん貰うはず。
バレンタインまで、あと二週間とちょっと。
クラスの友人達は、すでに何をあげるかも決まっているというのに。
(どうしよう・・・)
貰う人であるリョーマが、これ程までに興味が無いというのも困る。
興味があるとは、思っていなかったけれど。
「・・・ね、リョーマ君はどんなチョコがいい?」
とりあえず何がいいかを聞いておけば、十四日までには間に合う。
いくら関心が無くても、あげれば貰ってくれるだろう。
そう期待を込めて聞いてみるが。
「別にいらないって。ねぇ、それよりこの入浴剤さ・・・」
上手くひらりとかわされてしまう。
様々な種類の入浴剤を品定めするリョーマに相槌を打ちながら、は心の中で溜息を吐いた。
(・・・・本当にどうしよう・・・)
何がいいかさえも分からなくて。
結局この日、バレンタインの材料になりそうなものは収穫できなかった。
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続きます〜。